No,42 天鏡閣~旧高松宮翁島別邸、再訪-はじまりの美術館

A型フォードのひとり言
「秋本番、黄金色の水田もコンバインが縦横に走り、収穫が進んでいます。農家の声に耳を澄ますと暑い夏がどう作用しているか刈り取ってみないとわからないそうです。良い結果を期待し汗の結実、豊作を祝いたいものです。今回は行楽シーズンに賑わう猪苗代周辺を訪ねました。」

 

天鏡閣・1979年国指定重要文化財・耶麻郡猪苗代町大字翁沢字御殿山1048

明治40年、東北地方を御旅行中の有栖川宮威仁親王殿下(ありすがわのみやたけひとしんのうでんか)は猪苗代湖畔の景色をいたく気に入り御別邸建設が決定、翌8月竣工、9月には皇太子嘉仁(よしひと)親王殿下(後の大正天皇)、行啓【ぎょうけい:皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃の外出すること】、『天鏡閣」と命名されました。大正13年、高松宮宣仁【のぶひと】親王殿下が有栖川宮の祭祀を継承。以降我々県民になじみの深い『高松宮別邸』となりました。昭和27年高松宮家から福島県に天鏡閣・和風御別邸及び敷地が下賜【かし:天皇など身分の高い人が身分の低い人に物を与えること】されたものです。1984年修復工事完了後、一般公開。県内外から多く訪れるスポットとなりました。
気品あるルネサンス様式の館有栖川宮親王殿下の銅像皇太子時代の大正天皇の筆になる「天鏡閣」の偏額忠実に復元されたメインの食堂。天井飾りのレリーフは光の陰影を写し表情を変えます。暖炉には有栖川宮家の紋章がビリヤードルーム呼び出し用受信機最上階の搭屋・窓から有栖川宮伝家の銅像を望む。

宮家から御下賜され改修後貴重な県民財産となり県内外から多くの来訪者を迎えるようになったことは大変喜ばしい事です。月日の流れと共にますます味わい深くなってきました。瀟洒【しょうしゃ:すっきりとあか抜けした、洒落た、優雅なさま】な建物、内部も優雅な皇室文化を想像させてくれます。この建物を見ているととても趣がありよい感じに年を重ねている文化財の保護活用に自治体と共に取り組むことができると素晴らしいと考えたりもします。

 

旧高松宮翁島別邸(現福島県迎賓館)1999年国重要文化財指定・耶麻郡猪苗代町翁沢字畑田1072-4(天鏡閣から西方400m)

 

和風御別邸・天鏡閣からさらに湖水近く、林の中の日本庭園に囲まれた純日本建築。1922年有栖川宮慰子妃殿下のために建設されたもの。自然林を活かした日本庭園の中に配された純日本建築は天鏡閣と趣を異にし、既に還暦を過ぎた妃殿下に対する心配りに溢れています。内部は期間限定予約制公開です。
正面長屋門自然生かした日本庭園と調和する建物四阿(あずまや)から眺める猪苗代湖

木々が低かった昔はさらに豊かな景色が広がっていたことでしょう…。

しばらく見ないうちに迎賓館もお歳を召されたかのように見えます。文化財は絶えず維持補修の手を入れなければなりません。本県も、より力を入れて欲しいものです…。

 

番外編 -1-
はじまりの美術館再訪・耶麻郡猪苗代町新町4873 岡部兼芳(たかよし)館長

「建物探訪記」初回お訪ねしたのがこちらです。
『えらぶん:のこすん:つなげるん』という楽しい企画展を10月21日まで開催中。
明るく自由な空気に溢れるこの美術館。今夏も若い学芸員さんとキュレーターさんのやり取りが聞こえて来そうです。個性的な小さい美術館がどんどん増えてくれればよいなあ…と思います。添加物無しの「大福もち」をお土産に持参したら大うけの大歓迎でした。
また伺います!ありがとうございました。

 

番外編 -2-
稲川酒造店を訪ねて・清酒「稲川」「七重郎」醸造元・嘉永元年創業
稲川は猪苗代の地酒、良心的で丁寧な姿勢は地元に愛され県内外に多くのファンを持ちます。
全国新酒鑑評会金賞をはじめ数々の受賞歴を誇ります。南部杜氏の技が光ります。
代表社員当主‐塩谷隆一郎さんはにこやかに控えめに日本酒愛を語ってくれます。
脚光を浴びる福島の日本酒ですが、共通するのは温かい人間味あふれる蔵元の姿勢です。
福島人の心を映した酒が全国に轟いているとすればこんなに嬉しいことはありませんね。

稲川酒造南部杜氏協会からの賞状銘酒『七重郎』ここにあり

秋はいよいよ深まります。

 

次回は私と錦秋の旅をお伝えしたいと思います。

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