No,22 2018年…裏磐梯の春、新しい一歩を…
例年になく厳しかった会津・裏磐梯の冬でした。中旬から一気に暖気がやってきて、雪解けが加速してきました。『耐雪凌霜(たいせつりょうそう)』自然の生命は旺盛に存在を誇示し始めます。
ある専門誌の新年号に私は『弓引き絞る年に』と言う一文を寄せました。2009年北塩原村檜原に使われなくなった公共保養施設を取得し、ホテルとして再生させるという取り組みは、私にとって啓示とも思える出会いでした。
【益子義弘先生との出会い】
3月15日、先生を埼玉県は新座のアトリエにお訪ねしました。
【 新座の家 】は先生が1970年から手がけた住居でありアトリエです。この間、周辺環境は目まぐるしく変わりましたが、先生は
「住むこと、そのかたちや空間を考えること。どうあれこの場所での経験は、ぼく自身の生活の感覚を支配するとともに、そうした人の居場所のありように思いをめぐらす上で、ひとつの原点であり定点になってしまったように思う。」
そう語っておられます。周辺の変化も自然に身にまといながら進化を続ける住まいの空間です。
【益子義弘先生】
1940年生れ。東京芸術大学名誉教授・益子アトリエ主宰。
私が設計事務所に勤務していたころの上司が益子先生の後輩にあたり、その御縁で知己を得ました。ラボット仙台の『仙台の家』ホテリ・アアルトの設計に腕を奮って下さったばかりか、普段のお付き合いからも様々な示唆・教えを受けています。建築に対する深い思索は勿論、エネルギッシュに行動するいつも進化形の建築家。
煙草をくゆらせながらの打ち合わせの様子。たけちゃんと益子先生アトリエスタッフと忌憚のないディスカッション。
黙らせることなく意見を吸い上げるかのような懐の深い先生です。
【1888年7月15日磐梯山が大噴火から130年】
我が国は明治維新から150年。会津にとっては戊申150年の節目で一線を画した歴史をかみしめる一年です。 大噴火が生んだ自然の造形、後世の人々が丹精込めて作り上げた世界に誇る景勝地『裏磐梯』。裏磐梯に惚れ込み、誇りを抱いた私が素晴らしい人との出会いに恵まれ、ホテル経営に乗り出し10年。奇をてらわず、磐梯の地だからこそ、私達の思いと心をそっとお届けしたい。心と身体の解放と滋養に。
【ホテリ・アアルトから新たなご提案を!】
私達がお客さまとともに描くストーリー。新たな客室棟と湯殿、そしてレストラン棟の建設に取り組みます。完成は2019年。
益子先生、スタッフの皆様とのディスカッションも熟度を上げて参りました。360度新たなヒントを求めて、私のアンテナもフル回転です。魅力ある素材も発見しました。熱い人からも強烈なインスパイアを頂きました。
私達からのご提案で素敵な時間を共有できたら…お客様の人生の1ページに加えて頂けたら幸せです。
正面,エントランスからのアアルト浴室からの景色は一幅の絵黄昏に溶け込もうとするホテル