No,21 戊申150年 重要文化財・国史跡 旧会津藩滝沢本陣横山家住宅を訪ねる

本年は明治維新150年の節目の年です。会津の人々には『戊申』の意味は重く、私達県民も会津人の思いを敬意を持って共有しています。
春彼岸を前に一気に暖かさが増した3月15日、旧会津藩滝沢本陣横山家住宅を訪ねました。

建設1596年 開設1679年 1967年文部省指定史跡 1971年国重要文化財
【 建物の概要 】
主屋 桁行20.1m 梁間7.6m 東面切妻造 西面寄棟造 茅葺
座敷 桁行10.5m 梁間7.4m 寄棟造 茅葺(北西隅主屋に接続)
御入御門 柱間1.8m 棟門 茅葺
湯殿・東西門塀・東西囲塀等は省略

近世において滝沢組組頭・集落の長を務めてきた横山家。滝沢集落は滝沢峠から猪苗代湖西岸を経て、勢至堂峠を越え奥州街道白河の関に至る旧白河街道の出発点であり、横山家は参勤交代や領内巡行の折、藩主の御休所として使われてきました。350年の時を経て往時の姿を今に残す東北地方最古と言われる美しくも堂々たる建物です。
正面から
主屋と座敷の接合部

組頭の屋敷とはいえ基本は農家、華美に走らず落ち着いた佇まいを見せる。
藩主がくぐる御入御門(おいりごもん)
第16代当主夫人とたけちゃん。
穏やかな笑みを絶やさず、しかし会津の歴史を語る時は凛とした会津の魂を伝える素敵な御婦人。母と同じ昭和の初め、巳年生まれとはとても見えない!母と同じ年代でありながらiPadを駆使しながらのご説明は楽しいひと時でした。素敵な会津美人との出会いも大収穫でした。

 

【茅葺・熊谷産業の仕事】

美しい表情を見せてくれる茅葺屋根…。厳しい会津の冬に耐えおよそ4世紀生き続けた建物。歴代の当主が維持補修を重ね受け継いできました。およそ20年に一度は葺き替えが必要となります。前回ご紹介した通り、この会津地方でさえ原材料の確保と茅葺職人集団の確保は難しくなってしまいました。農家集落では当たり前に行われてきた住民総出の屋根の葺き替えの景色を覚えている最後の年代になってしまいました。
横山家も3年前に屋根の葺き替えと補修工事を行いましたが、国の補助金はあるものの横山家の負担も大変なものです。記念の今年を契機に心ある方に沢山訪れて頂きたいものです。

主屋の長大な軒先、美しく精緻な仕上げです。
土間から天井を見上げる。葺き替え時は当然屋根全体を剥いてしまいます。

茅葺屋根の全面葺き替えと補修工事は前回ご紹介した宮城県石巻市の『有限会社 熊谷産業』の施工です。重要文化財をはじめ 寺社建築から古民家再生まで、日本の伝統美を支える誇り高いプロ集団の仕事は全国に及びます。御当家16代の奥様は『将来、次の当主の時代の葺き替え工事も熊谷さんにお願いします。』と語っておられました。

 

伝統技術と日本の美を守ろう!

およそ4世紀、往時の生活の息遣いもそのままに、歴史の動乱の傷跡も生々しくこの建物は生きています。人の生活を、歴史を映し続ける建築物。奥の深い日本の美を継承するためには技術の継承が肝心です。美しいもの大切なものを皆で守り継承しようという総意の醸成。我が国の文化財保護の今後の在り方。 まさに「戊申150年」振り返り先を見据える時なのでは…という思いを強くしました。
戊辰戦争時の弾痕
同じく刀疵
白兵戦の騒乱が聞こえるようです。

 

【A型フォードの近況】
「アメリカからの部品がまだ届かずドッグ入りを継続中…。今回伺った横山さんも僕と同世代だとか。たけちゃんが僕の写真をお見せすると、『会いたかったぁ~!』とおっしゃったそうです。復帰したら必ず連れてきてくれると約束しました。 復帰時期は桜の季節が目標です。」

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