No,12 会津『新宮熊野神社・長床』

例年より早い本格的な冬の到来です。
会津地方は豪雪に見舞われ寒波は居座り続けております。
皆様、慌ただしい師走をお元気にお過ごしでしょうか?
11月は創業53周年を迎え、恒例の《八光建設グループ感謝祭》に加えて、11月2日『これからのくらし・心地良い日常を考える』をテーマに、医療・福祉の数的な充足のさらに先を見据え求められるものは…?

いわば心と五感が喜びを享受出来る健康長寿を目指し、医療福祉関連施設を様々な角度から一貫支援する14者からなる連携組織『ハートフルプロジェクト』をスタートさせました。

ほぼ1カ月に渡るトークセッションや展覧会が続き、建物探訪にBASE CAMPからなかなか飛び出す事が出来ませんでした。

各地の紅葉の名所も終わりを告げるなか、今年も見ておきたいと気が急いた喜多方は『新宮熊野神社・長床』でした。
雪道には不安を残す『A型フォード』です。
会津の雪雲を見やりながら、貴重な午後の4時間を活かして行って参りました。

 

昭和38年国重要文化財指定『新宮熊野神社・長床』

大銀杏の黄金色の落ち葉の絨緞と、間口27m奥行き12m、直径約45㎝の円柱が3m間隔で5列に並び、壁を一切持たない吹き抜けの構造。 創建以来1000年に及ぼうとする茅葺の壮大にして緊張感のある長床の融合した「絵」は全国に知られる本県の秋を代表するものです。この日も多くの来訪者が歓声を上げ、ライトアップを前にテレビの取材クルーも訪れていました。

 

会津の自然と人と生活を想う

長床は神社の拝殿として建立されたものと伝えられていますが、地域住民の「寄合の場」としても使われ、崇敬の念を集めると同時に住民との距離感は無く親しまれてきたと思われます。目の前にあるのはまさに一幅の絵、しかし庭を歩き長床を様々な角度から見つめ、風雪に油分を削ぎ落とされ石柱のような円柱群に触れた時、祈りや修験の念を刻んだばかりではなく、民衆の苦しみ、ささやかな生産の喜びと感謝、時には疫病に苦しむものを迎え終焉の時を送らせたかもしれない。 厳しい会津の冬、暮らしと習俗、謹厳な会津人の魂、圧倒的な時の流れの中で長床は人々を迎え、さらに高みに送ってくれたのではないか、その思いは閉鎖的な空間に閉じ込めてはならない。
吹き渡り上り行く風の流れるこの形こそ相応しいのではないかと思いました。

人々が心を寄せ共に生き続ける建物

半世紀以上前に国の重要文化財に指定されて以来、維持管理に参拝客、観光客の受け入れにあたってきた地元の皆様。柔和な微笑みを持って対応していらっしゃる様子には本当に感心、頭が下がります。様々な制約もあるのでしょうが、アーティストから見れば実に魅力的なステージです。80歳を超えて今なお現役のフラメンコダンサー、舞踏家、画家として情熱的に活動している会津若松出身の長嶺ヤス子さんの舞台は歴史に残る名舞台でした。
薪能、平家琵琶…様々なコンサート…若々しく生きるもう一つの姿があります。
貴重な文化財を生き続けるものとして継承していく、新宮長床から発信されるメッセージが広がることを大いに期待しています。


A型フォードの独り言

「目の前まで冬が迫っていることを肌で感じながらの会津訪問。この『新宮・長床』は長い人生?の中でも初めての出会いで、日本の深いスピリチュアルな世界に踏み込んだような気持ちになりました。美しい佇まいにうっとりしていると、何やら沢山の視線を感じます。カメラを抱えた人が僕に興味津々…声をかけてくれます。たけちゃんが僕との出会いについて答えています。長床・大銀杏・金色の絨緞…そして僕。願ってもない被写体だと大喜びでシャッターを切っていました。多くがどうやら遠方のお客様。どこで僕の事が語られるのか面映ゆい(おもはゆい)ような。でも良い気分でした。」
「今回はうまく雪雲から逃れたけれど、やっぱり苦手…。福島の冬をどう乗り切るか…身体は快調!がんばります!!!」

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