No.31 福島市民家園 福島市上名倉字大石前(あづま総合運動公園内)
「志・こころざし」の高い施設
江戸中期から明治時代にかけての県北地区の民家を中心に、貴重な建物を当時の環境まで忠実に移転復元したものです。豊富な樹木は獣害を防ぐためにも、見通しが効いた明るい空間です。建物ばかりでなく敷地内の維持管理まで相当な経費が必要とされますが、無料で公開しています。訪れる人それぞれに思索のヒントを与えてくれる素晴らしい施設です。
福島市は「大人の街」です。
①民家園前のA型フォード
国指定重要文化財「旧広瀬座」
明治20年頃、旧梁川町の町民有志によって建設された「広瀬座」は大衆娯楽の殿堂として長く愛されました。回り舞台・地階の奈落を備えた芝居小屋として現存するのは全国的にも数例しかありません。当時栄えた梁川町、そして民意の高さに敬意を表します。
②広瀬座全景③側面
広瀬座は現在も年に数回、各種の講演に使われる「生きた芝居小屋です。」
④民家の数々⑤民家の数々⑥民家の数々
⑦囲炉裏 車座に囲んで憩い談笑する古の人々の表情が浮かびます。
たけちゃんの独り言
「数世紀を経た豪壮な農家や町屋、造りは異なっても沢山の事を語りかけてきます。生活の場であった他、養蚕にも勤しみ蚕と生活をともしました。
囲炉裏の煙に燻されて飴色に光る太い梁。昼でも漆黒の闇が潜む生活の場。絶えず燻蒸されて呼吸する茅葺屋根。移築されたものでありながら、染みつき蓄積された生活の匂いは濃いままに残っています。
桑の葉を食む蚕の旺盛な食欲、サワサワ…と広がるあの音。三和土(たたき)の感触。囲炉裏や竈の煮炊き。立ち上る煙。隠れたら見つかることのなかった闇が家の中に存在する。陰影や独特のにおいを記憶する日本人は最早ほんの少数になりつつある。還暦を過ぎ町で育ちながらも近郊農家と濃いつながりがあった僕などが保存された建築物が盛んに生きていた時代を知る最後の世代でしょう。語られる文化の伝承はDNAレベルで難しくなってきています。継承は大切なテーマであることは当然です。知の海を航海するような人生を歩むようになった現代人。
これからの日本人の心に深く残る建物を目指していかなければと思ったひと時でした。」
石巻の盟友、熊谷産業の茅葺の仕事をここでも見ることが出来ました。橋渡しの労をとることが出来た事を嬉しく思いました。 皆さん元気に梅雨を乗り切りましょう!