No,8 岩瀬湯本温泉 源泉亭湯口屋旅館本館

源泉亭 湯口屋旅館本館
2017年3月 国登録有形文化財指定

重厚な茅葺(かやぶき)屋根。通りから一段高く『源泉亭』を名乗るにふさわしいたたずまい。岩瀬湯本温泉の開湯は9世紀ごろと伝わります。IMG_4524湯口屋全貌

創業270年の湯口屋さんも現在の女将さんが16代目。現在の建物は『戊辰戦争』で焼失後明治4年(1871年)に再建されたもので、この春 屋根を葺き替えました。
湯口屋さんは代々女将が切り盛りし、男性は郵便局長を務めていました。(別館の1階に懐かしい赤い石柱の郵便ポストがあります)そこかしこに歴代の女将の丹精込めた仕事の跡が見て取れます。
夕餉の膳を囲んだ囲炉裏のある広間はまさに圧巻でした。逞しい大黒柱、吹き抜けの天井までの高さ、鏡のように磨きあげられた床。深い輝きを放っています。
女将を中心とした星家総力の結集。この地を愛した多くのお客様の思い出も詰まっているであろう正に生き続ける建物の姿がありました。湯口屋合成囲炉裏と床と大黒柱

お湯の上質なのは勿論、実に優しい山里の料理はすべて愛情細やかな手造り。御親戚だという寿々乃井酒造店の『自然流特別純米酒・寿月』御馳走様でした。IMG_4528温かみのある料理IMG_4532-2若女将の星寛子さんとA型フォードがお気に入りの小5の宇宙(そら)君
今年1月5日生まれの二男の汰地(たいち)君。小4の梨央ちゃんも18代目女将予定者。
元気いっぱいなご家族です。

寛子さんは平成16年に神奈川県大和市から嫁いで来られました。女将の片腕として腕を奮いながら優しいお母さんとして、また天栄村にとって貴重な人材として前進の毎日です。
色々なお話を伺えて楽しく過ごさせて頂きました。しっかり継承していくのだという気持ちが伝わる素敵な若女将でした。


【つげ義春と湯本・二岐岐温泉・会津の温泉】
つげ義春(昭和12年東京生まれ)小学校卒業後、メッキ工員(大場電機鍍金工業所に詳しい)を皮切りに様々な職業を転々と。昭和30年代には貸本漫画界で活躍。40年代には伝説の雑誌『ガロ』を舞台に寡作ながら活躍。独特の次元を異にしたような精神世界。原日本人のあからさまなリアリズムは衝撃的でした。
同行者Sはつげ義春の信奉者である。作品・旅の絵本・会津岩瀬湯本温泉・昭和42年10月 桃源郷-福島岩瀬湯本温泉のイラストは正に茅葺の建物が肩を寄せ合ってひそひそ話をしているかのような当時の岩瀬湯本をそのままに、湯口屋の前にある住民専用共同浴場『おもで湯』も改装前の姿で描かれている。秘湯ブームで脚光を浴びる以前の二岐温泉に取材した『二岐渓谷』会津玉梨温泉を舞台に『会津の釣り宿』奥会津の僻村を舞台に『もっきり屋の少女』など幾度となくディープな福島を旅したつげの佳品は多い。

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