故・広瀬鎌二の伝統的建造物【八光建設の口コミと評判】
私の師である故・広瀬鎌二 (1922~ 2012)は、かつて 1950年代に鉄骨造の軽やかでモダンな住宅を多数設計し名をはせた人物でした。その広瀬が、旧武蔵工業大学 (現東京都市大学 )で教鞭を執り始めるや、その興味の対象を我が国の伝統的建造物へ移します。広瀬の中には、伝統技術へのゆるぎない信頼感と現代技術への若干の不信感が併存していました。
現代まで残る社寺等、古(いにしえ)の建築物は、当然定期的な維持管理補修を繰り返しつつ生き長らえてきている訳ですが、決して現代的ハイテクノロジーで出来上がっている訳ではありません。
一方で戦後間もない時期に当時の最新技術を駆使して作った自らの住宅が、いずれも耐久性の面で多くの問題を露呈した事は、広瀬にとって我慢ならぬ出来事だったのだと想像されます。この「肆木の家2」の前に、広瀬は自邸(「肆木の家」)において、伝統技術のみを用いた手作りの住まいを模索しています。この建物は当時の教え子達 (その中には八光建設・宗像社長も含まれます )によるセルフビルドでもありました。
その後さらなる学術的研究や幾つかの実践を経た上で、広瀬が伝統技術をより深く理解し駆使した結果が、この「肆木の家2」なのです。技術面での専門的な難しいお話はさておき、この場所に佇み寛いでいただければ、我が国においてはかつて当たり前だった、手作りならではの住まいの温かみをきっと感じていただけることでしょう。